相続

相続について家族で話しておきましょう

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相続・遺言を中心に大阪で行政書士事務所を運営しております、行政書士の尾桐です。

この記事をお読みくださりありがとうございます。

そろそろ”終活”を始めようと思ってはいても、何から始めればいいのかわからないという方のためになるように終活にまつわるあれこれなどについてお伝えしております。

今回は相続について家族で話しておくことの重要性についてです。

元気なうちに話しておきましょう

相続のことについて家族の間で話をするのは、なかなか切り出しにくいですよね。
でも、生前に何の話もなく、何の準備も対策もしてなかった場合、残された家族は遺産分割協議やそのあとの手続きなどが大変になることが多くあります。

例えば、遺言書がない場合は家族で遺産分割協議をすることになるのですが、まず遺産がどのくらいあるのか調べてからでないと協議はできません。
また、負債がどのくらいあるのかによっては相続放棄することもあると思いますが、相続放棄は原則として相続が起こってから3か月以内にする必要があります。
負債があることを知らずに相続してしまった場合、相続した家族はその負債を背負うことになります。
相続した預貯金で払える場合は良いですが、遺産が自宅しかなかった場合などは自宅を売って負債を返済することになるかも知れません。

このように、後になって問題が起きたり、生前に故人が相続についてどのように考えていたかがわからないと遺産分割協議の際、相続人それぞれが損得勘定での主張をし始め協議がまとまらず調停や裁判へ発展することになりかねません。それは避けたいところですよね。

そんなことにならないように、生前に家族で相続について話し合っておくことは大事なことです。
今の時代は“終活”という言葉が当たり前のようになってきましたし、昔より自分の老後や相続についてきちんと考えている親世代も増えてきていると思います。
親の方から子供に対して、「自分はこう考えてる。」とか「もしもの時はこうしてね。」と提示してくれるのが一番良いのですが、すべての親がそうではありません。そのよう場合に子供側から親に対して相続について聞き出すのは難しいかもしれないですよね。いきなりストレートに聞いてしまうと親側からしてもあまりいい気はしないでしょう。
タイミングや聞き方などにには注意しつつ、親の財産状況や相続についての話合いができるようにしましょう。

きっかけはどうする?

相続についての話し合いといっても、いきなりストレートに話し出すのは難しいので、まずは今後のことや介護が必要になったときにはどう考えてる?などと近い将来についてから話合っておくと良いと思います。
元気なうちに「相続のこと」と切り出すと早く死んでほしいのか!!と怒り出す親も多いので、まずは「もし介護が必要になったときにはどうしてほしい?」とか「万が一認知症や病気で、自分でお金の管理が難しくなったときに困らないように、どのくらい預金があるか教えておいてくれる?」などと近い将来起こりそうな“もし○○のときに親自身はどうしてほしいと考えているのか”を聞き出すようにすると親側も機嫌を損ねず話してくれるんじゃないかなと思います。
もしも認知症や病気により判断能力が低下した場合、あれこれと言ってる事が変わってしまったり、財産についても思い出せなくなっていることもあるかもしれません。だからこそ元気なうちに話し合っておくことが大事になります。

まずは今後のことを話すことをきっかけに相続についても、親がどんな風に考えているのかを話してくれているといざ親が亡くなり、相続が起こっても親の意思を尊重して円満な遺産分割協議ができるのではないでしょうか。

ただし、一部の家族だけにしか生前の想いが伝わってないと相続人同士の間で「俺はそんなこと聞いてない💢」や「絶対そんなこと言うわけがない💢」などと揉める原因になりかねないので、こういう話し合いはなるべく家族みんなが集まったときにするか家族間で共有しておくのが良いと思います。

どうしても話し合いが難しいときには

普段からよく親と会っていたり、しょっちゅう電話などで話してコミュニケーションが取れている間柄であれば介護や相続についての話しも切り出しやすいと思いますが、そうでない場合はなかなか言い出せないということもあると思います。

そんな時にはエンディングノートをプレゼントしてみたりするのも良いと思います。
面と向かって話し合いをするのは難しくても、「これからのことを考えてこれに書いておいてね」であれば伝えやすいと思いますし、もらった親の方もゆっくり時間をかけて書くことができます。
そうやって書いているうちに親自身も自分の今後について真剣に考えるようになるし、できればこうしてほしいという想いも伝えてくれるようになるかもしれません。

本来は遺言書を書いておいてもらうのが一番良いのですが、エンディングノートがあるだけである程度の情報と想いはわかるようになりますので、相続が起こったときにはとても役に立つと思います。

コミュニケーションは大事です

相続の際に揉め事になるのはやはり関係性が疎遠な場合が多いです。人は関係性が薄い相手には配慮や遠慮の気持ちも薄くなるものです。

相続において勝手な思い込みをしている方は結構多いです。
例えば、長男なんだから実家の土地や建物は自分が相続して当たり前だと思っていたり、自分は介護したんだから他の兄弟より多くもらって当たり前と思っていたり…でも法律上はそれは当たり前ではありません。自分が当たり前だと思っていたことを否定されるとそれが怒りとなり、他の人の言うことを受け入れることできず、話し合いができなくなり争いごとへと発展してしまうのです。

親子間はもちろんですが相続人となる間柄でもなるべくコミュニケーションをとり、相続についての考え方をある程度知っておくと、円満な相続にする対策もできますし、いざというときにスムーズに話が進みます。

どこかのきっかけで家族間で相続についての話し合いができるように、そして争いごとにならないように、普段からコミュニケーションを大切に心がけておきましょう。


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