相続・遺言を中心に大阪で行政書士事務所を運営しております、行政書士の尾桐です。
この記事をお読みくださりありがとうございます。
そろそろ”終活”を始めようと思ってはいても、何から始めればいいのかわからないという方のためになるように終活にまつわるあれこれなどについてお伝えしております。
今回は遺言書作成までに終活として事前にやっておくと良いことについてです。
遺言書作成までにやっておくこと
遺言書を作成するときには、いきなり書き出すのではなく事前準備が必要です。
自筆証書遺言の場合は、遺言本文はすべて自筆ですので何度も書き直すことになれば面倒ですし、時間もかかってイヤになり遺言書を書くことをやめてしまう…なんてことになってしまうことも。
公正証書遺言の場合は作り直したり、訂正する際にも費用が発生しますので、きちんと決めてから作成するようにしましょう。
そうならないように、遺言書を作成するまでの準備として何から始めれば良いのかをお伝えします。
まずは準備から始めましょう!
- ステップ①まずは自分の財産を整理する
【預金口座】財産の多寡にもよりますが、意外にご自分の財産がどのくらいあるのかきちんと把握されていない方もいらっしゃいます。
昔は預金金利も良かったため、たくさんの銀行で口座をお持ちであったり、10年以上取引がなく休眠口座になっている場合もあるかと思います。
それをそのままにしておくと相続人はたくさんの銀行での手続きが発生し、手間も時間もかかってしまいます。
できれば預金口座はご自分で管理できなくなったときのことも考慮して必要最低限にまとめておきましょう。【不動産】親から相続した不動産の相続登記をしていない場合、登記名義は親のままでありご自分は名義人となりません。そのままだと相続登記の手続きが複雑になります。現在は相続登記が義務化されましたので、今後は登記を放っておくことはできません。
固定資産税の通知が来ていても、登記名義は別の場合もありますので、きちんと今現在の登記簿などを確認し、名義変更されていない場合は変更しておきましょう。その他、有価証券や車、高価な動産(絵画や貴金属など)もあれば書き出して把握しておきましょう。
- ステップ②財産の相続方法・分配方法を決める
財産が把握できたらどのような方法で分配するかを決めていきます。
「誰に」「何を」「相続させる(遺贈する)」を考えましょう。
その際には遺留分や相続税のことも考慮する必要があります。
せっかく遺言書を作成するのであれば、相続人同士がなるべく揉めないような内容にすることが望ましいですね。 - ステップ③その他の遺言書に記しておきたいことを決める
財産の分配方法以外では遺言執行者を指定しておいたり、お墓やお仏壇などを承継してもらいたい者を指定することもできます。
特に相続人以外に遺贈したい場合に、遺言執行者を決めていないと遺贈の内容を知った相続人が納得せず、遺言書通りに渡してもらえないこともあり得るかもしれません。
また、法的効力はありませんが相続人への感謝の気持ちや、どのような考えでこの遺言内容にしたのかを記しておくこともできます。
ご自分だけではどんな内容で書けば良いのかわからない場合は、専門家に依頼して原案作成などのサポートを受けることも検討してみてください。 - ステップ④準備ができたら遺言書作成
遺言の内容が決まったらいよいよ作成です。
自筆証書遺言にする場合は、形式をしっかり確認して間違いのないように書いていきましょう。万年筆やボールペンなど消えない筆記具で書きますが、最初はえんぴつで下書きしてからの方が失敗は少なく作成できると思います。
ご自分で書いた遺言内容や形式に不安があるときは、専門家に事前チェックしてもらうと安心です。
公正証書遺言の場合は、口頭で公証人に伝えれば良いので遺言書に記載したい内容をメモなどにしておくと良いと思います。公証役場へは予約してから行きましょう。 - ステップ⑤遺言書完成です!!
公正証書遺言は原本を公証役場が保管してくれますが、自筆証書遺言の場合は保管方法をどうするか決めておきましょう。
エンディングノートを活用しましょう
ここまで遺言書を作成するまでの事前準備~完成まで簡潔にお伝えしましたが、遺言書作成の準備としてだけではなく、終活の一環としてエンディングノートを活用されると良いと思います。
エンディングノートには財産についてのことだけではなく、ご自身についてのことやかかりつけの病院、病気や認知症になった際のことや、希望する葬儀やお墓のことなど、ご家族に知っておいてもらいたいことを書き記しておくことができます。
残されたご家族としてもご本人の身の回りのことや、ご本人の希望がわかっていた方が悩んだり、迷ったりすることも少なることと思います。
そして何よりご本人がご自分のことを整理したり、これからのことをじっくり考えたりすることで、ご自分の意思をはっきり決められたり、やりたいことが見つかったりすることもあるかと思います。
エンディングノートは今は書店にも売ってますし、ご家族からプレゼントするのも良いと思います。
ぜひ、遺言書の作成の準備に、そして明るい終活の一環としてぜひ活用してみてください。